今回は、冷凍輸送でよく使用されているドライアイスの意外な活躍場面について簡単にご紹介します。

「冷やす」だけじゃないドライアイスの実力

ドライアイスと聞けば、皆さんは冷凍空間を作るための「冷やす」目的で使うものとしてイメージされるかと思います。そんなドライアイスですが、「冷やす」以外の用途で活躍していることをご存じでしょうか。

実はドライアイスは、洗浄する場面で大いに役立ちます。水や洗剤を使わずに汚れを落とすことができるので、水気を嫌う機械・設備の洗浄に最適です。

どうやって汚れを落とすのか

ドライアイス洗浄では、コンプレッサーの圧縮空気を使い、ドライアイスの粒を噴射して汚れを除去します。では、なぜドライアイスを使うと機械の頑固な油汚れが綺麗に取れるのでしょうか。その原理について簡単にご説明します。

ドライアイス洗浄の原理

 

ドライアイス自体は、柔らかく研磨力が弱いため、対象物に傷をつけずに洗浄することが出来ます。また、気体へと昇華する性質があるため、洗浄後に研磨材が残らない、といったメリットもあります。

この洗浄方法は、最近生まれたものではなく、ヨーロッパにおいて約25年前から使用されてきた歴史ある方法です。日本でも、およそ10年前から取り入れられてきました。

では、実際にこの洗浄方法が採用されている事例として、興味深いものを一つご紹介します。

飛行機の安全を守るドライアイス

ドライアイス洗浄は、機械の洗浄以外にも、空港にある滑走路に埋め込まれているライトの洗浄に使われています。このライトは、パイロットが夜間、飛行機を離着陸させる際に目印にするためのものです。このライトに砂ほこりや飛行機のタイヤ屑などが付着していると、照度が落ちてしまい、パイロットがライトを認識できないといった事態が起こる危険性があります。

そこで、汚れを除去するための洗浄方法として、水拭きの必要がなく、研磨材が残らないドライアイス洗浄が採用されています。ドライアイス洗浄車輛を使い、空港内の滑走路や誘導路に埋設されたライトの表面を埋設したまま洗浄することで、ライトに付着した汚れを確実に落としているのです。

ドライアイスが、飛行機の安全を守り、そして私たちの命を守っているのだと実感することができます。