今回は、食品や保冷剤の凍結のために使用されている急速凍結庫の種類・購入の際の注意点について簡単にご紹介します。

急速凍結庫とは?

急速凍結庫とは、その名の通り素早く凍結させることができる機械のことです。具体的には、「食品や保冷剤に-30℃以下の低温な冷気を強く吹き付けて、最大氷結晶生成温度帯(水から氷に変化していく-1℃から-5℃間の温度帯)を素早く通過して凍結させ、-18℃以下まで冷却し保管する」というものです。

ちなみに、急速凍結と反対に、ゆっくり凍らせる方法のことは、「緩慢凍結」と呼びます。家庭用冷凍庫は、この緩慢凍結の方法で食品を凍らせています。

急速凍結庫の種類

では、実際に業務用で使われている急速凍結庫にはどんな種類があるのでしょうか。今回は、主要な凍結技術を3種類ご紹介します。

ショックフリーザー

エアーブラスト(空気凍結)の冷気を対象物に強く当てることで、素早く冷凍させることができます。食品を凍結させる場合、強い冷風による表面の乾燥が弱点ですが、湿度や循環をコントロールすることで改善された急速冷凍庫も出てきているようです。保冷剤用の凍結庫のほとんどがこのタイプになります。

リキッドフリーザー

他の急速冷凍庫と比べて、圧倒的な凍結スピードを誇るのがリキッドフリーザー(液体凍結)です。食品を-30℃程度の液体(アルコール等)に浸けて凍結させる技術で、液体は空気よりも格段に熱伝導率が高いため、空気凍結よりも数倍の速度で凍結させることができます。

磁場凍結

磁場凍結は、冷凍庫内で磁場を発生させて水分子を細かく振動させ、氷の結晶を小さく保ちながら急速冷凍します。細かい氷の粒の集まりなので、食品の細胞膜を傷つけることはがなく、全体を均一に凍らせることで、食品のダメージを抑えられます。

保冷剤用の急速凍結庫を選ぶ際の注意点

保冷剤用の急速凍結庫を購入する際に気を付けるべきことは、以下の通りです。

保冷剤は、冷蔵用なら0℃、冷凍用なら-18℃以下の融点のものを使用するのが一般的です。0℃タイプの保冷剤は、一般的な凍結庫(-20℃まで下がるもの)で冷やすことができます。しかし、注意が必要なのが冷凍用で、-18℃以下の保冷剤を凍結させるには、庫内温度が-35~-40℃まで下がる凍結庫を用意しなくてはなりません。

なぜ保冷剤の融点よりも-10℃以上も低い温度で凍らせる必要があるのかというと、保冷剤の主成分である水が過冷却現象を起こすからです。

過冷却現象とは?

水から氷に代わる温度(凝固点)になっても固体にならず、凝固点以下でも液体になっている現象のことです。氷が結晶構造の氷になるためには、まず氷の種になるようなごく小さな氷の粒(核)が必要で、この核が起点になって連鎖的に周りの水を結晶化していきます。核は凝固点よりも十分に低い温度でなければ出来ないので、保冷剤の凍結には、凝固点よりも10℃~15℃程度低い温度環境が必要になります(下記グラフ参照)。

保冷剤用の急速凍結庫をお求めの際は、その点を十分に考慮して、使用される保冷剤に合った性能を選ぶことが大切です。