今回は、前回の海上コンテナのご紹介に続き、私たちも日常で利用している航空機に着目して、その貨物事情を簡単にご説明していきます。

海上輸送と航空輸送

国際物流を支える主な輸送方法には、前回ご紹介した海上輸送に加えて航空輸送があります。特に海上輸送は、国際輸送の99%を担っています。

なぜそれほどまでに、海上輸送の割合が高いのかというと、圧倒的に運べる貨物量が多いからです。

では、残りの数パーセントを占める航空輸送を利用するのは、どのようなときでしょうか。

航空機輸送の一番のメリットは、早さです。つまり、一日でも早く貨物を現地に届けたい時、例えば医薬品や新鮮な野菜果物などの日を追うごとに品質に影響の出る貨物は航空機で素早く輸送するのがベストです。

それぞれ違ったメリット・デメリットのある輸送方法ですが、今回は航空輸送の貨物はどうやって運ばれているのかご紹介していきます。

貨物を運ぶ航空機の種類

貨物を運ぶ航空機は、私たちが普段利用する旅客機(パッセンジャー)に加えて貨物専用機(フレイター)の二種類に分けられます。航空機の構造は、機体を縦に切った断面図を見ると分かりますが、上部のAスペースと下部のBスペースが存在しています。

航空機断面図

旅客機

旅客機は、上部Aに乗客が座り、下部Bに貨物を載せることができます。貨物の高さ制限は、一般的に160㎝までですが、航空機の行き先によっては、機体のサイズも変わるため160㎝以下になることもあるため注意が必要です。

貨物専用機

旅客機では載らない高さ160㎝以上の貨物も運べるのが、貨物専用機です。高さ制限は299㎝まで(※機体の種類によって変わる)で、AとBのスペースのどちらも貨物搭載に使用できます。旅客機と大きく変わるところが貨物の出入り口で、貨物専用機は飛行機の頭の部分が大きく開閉する非常にダイナミックな構造となっています。

航空機のコンテナ

航空機で運ばれる貨物は、機体の形に沿った専用のコンテナもしくは専用サイズのパレットに積み込まれます。これらの物流機器は、総称してULD(Unit Load Device)と呼ばれています。その形状やサイズについて、見ていきましょう。

LD3コンテナ(AKE)

国際線で最も多く使われるコンテナ。機体の半円のカーブに合わせた形をしています。

LD8コンテナ(DQF)

LD3コンテナよりも幅のあるコンテナ。こちらは両側がカーブに沿った形になっており、左右対称で安定性があるコンテナです。

航空機のパレット

88インチパレット

125インチ×88インチのパレット。

96インチパレット

125インチ×96インチのパレット。

荷物をパレットに積み上げたら、飛行中の振動や突発的な横揺れなどによる衝撃に備えるために、ネットを被せるなどしてしっかりと固定しています。

最後に

私たちが、普段旅行の際に利用している航空機の貨物事情。少し知るだけでも、次回に利用する時の見方が変わってくるかもしれませんね。個人的には、貨物専用機の頭部がパカリと開く構造には驚きでした。航空機の仕組みについて、より詳しく調べてみるのも面白いですね。