今回は、商品を破損なくユーザーに届けるための必需品である「緩衝材」について、その種類と改めて見直すべきポイントについてご紹介します。

緩衝材とは?

皆さんが、通販で商品を注文したり、家電量販店で家電製品を購入した時にしばしば目にする「緩衝材」。

緩衝材は、「物体同士が干渉しあうことで起きる物体の破損を防ぐために、隙間を挟み込むモノのこと」を指します。実際には、商品を輸送する際に商品を包み込んだり、周りを囲んだりすることで揺れや衝撃から商品を守る役割を果たしています。また、緩衝材の種類によっては、破損防止以外にも水漏れや湿気などの水気から商品を守るという効果もあります。

緩衝材の種類

緩衝材と一口に言っても、形・材質・用途によって様々に分かれています。今回は、その中でも一般的に使用されているものを簡単にご紹介します。

気泡緩衝材(エアーキャップ)

「プチプチ」というと耳なじみのある緩衝材ではないでしょうか。ポリエチレンの膜の中に沢山の気泡を作ることで、クッション性を生み出しています。シート状になっているので、商品のサイズに合わせてカットしたり、形に沿わせて包んだり、非常に扱いやすいのが特徴です。

発泡スチロール

軽くて非常にクッション性が高いので、電化製品などの衝撃に弱いものによく使用されています。商品が複雑な形状であっても、その形にぴったりはまるような成形ができるということが大きな特徴ですが、その分金型費用などの製造コストが他の緩衝材よりも高くなります。

バラ緩衝材

繭玉のような形をした緩衝材です。最近では、主原料がコンスターチのものが多く出回っており、環境に優しいというメリットもあります。発泡スチロールのようにしっかりと商品を固定することはできないので、商品を箱に入れた時に周りの隙間を埋める目的で使用します。

エアークッション

ビニールの中に空気を入れることでクッション性を持たせています。こちらもバラ緩衝材と同様、隙間を埋める用の緩衝材です。廃棄する際は、空気を抜くだけで簡単にコンパクトなサイズに圧縮できるので、ゴミ処理負担が少なくて済みます。

紙製緩衝材

その名の通り、紙で出来た緩衝材です。紙を細く切ったものをぐしゃぐしゃに丸めて隙間を埋めたり、商品を包んだりなど用途は様々です。薄い紙以外にも、段ボールなどの厚手の物であれば、切り折りなどの加工を施すことで立体的な緩衝材にすることもできます。紙は吸湿性があるため、湿度に弱い商品を運ぶには便利です。

緩衝材の見直しポイント

過剰包装になっていませんか?

どの業界でも、モノを輸送する際には緩衝材を使用していると思います。しかし、その緩衝材の種類や量は商品に対して適切なものになっているでしょうか。

とりあえずバラ緩衝材を大量に入れておく・エアーキャップを何重にも巻いて送るなど、過剰包装になっているケースもよく目にします。「商品が壊れない」ことが第一条件であることはもちろんですが、何も根拠がない状態で適当な緩衝材を大量に使用してしまうと、包装資材のコストアップを招いてしまいます。それだけでなく、商品を受け取るユーザーに対して、ゴミ処理にかかる時間やコストをかけさせてしまう可能性もあります。

そのような状況を未然に防ぐためにも、緩衝材の種類と特性が商品に合っているか今一度確かめることが大切になってきます。緩衝材だけでなく、それらを入れて運ぶ箱の強度・サイズを見直すことで全体の資材量を減らし、大幅なコストダウンに繋がる場合もあります。

紙製緩衝材への転換も視野に

近年、SDGsの取り組みの一つとして、各企業で脱プラの動きが高まっています。緩衝材などの包装資材もその対象の一つです。

バラ緩衝材の中には、植物のデンプンを主原料にすることで、ポリプロピレンの含有量を減らした商品も多くあります。衝撃に弱い精密機器や家電製品に使用する発泡スチロールは、段ボールの組み立て品で代用することも可能です。紙製のものは強度が低いイメージがあるかもしれませんが、段ボールは材質・厚みも様々で、設計次第で発泡スチロールに劣らない十分な強度のある緩衝材になります。

まずは、今お使いの緩衝材を紙製に変えることはできないか、コスト面も考慮に入れながら検討してみてはいかがでしょうか。