当社は保冷ボックスを製作している事もあり、様々な温度計を目にすることがあります。一口に温度計といっても、デジタル式、アナログ式、気温計や体温計など、さまざまな種類があります。今回はその中の一部を紹介させていただきます。

ガラス温度計

水銀温度計

水銀温度計は、熱を持つと膨張するという水銀の性質を利用した温度計です。使用温度範囲は通常-30~360℃ですが、高圧封入することで650℃まで使用できるタイプもあります。

しかし、水銀は環境に排出されると分解されずに循環し、人間への毒性が強いことで知られています。2013年10月に熊本県で開催された外交会議で、水銀に関する水俣条約の採択署名がおこなわれ、2015年6月に水銀による環境汚染の防止に関する法律が可決成立しました。この法律により、2020年末からガラス製水銀温度計の製造/輸出入が水禁止されました。

しかし、水銀温度計の使用に関しては、いくつかの条件を満たすもの(②標準器としての使用を目的としたもの、水銀を含まない製品によって代替できないもの等)は規制の対象外となっています。

アルコール温度計

アルコール温度計という名前ですが、中に入っている液体はアルコールではなく、着色された白灯油です。赤色・青色に着色されたものがあります。
温度が高くなるとアルコールが膨張する性質を利用したもので、板付きの家庭用温度計などに使われます。原理が最も単純でわかりやすい温度計です。

バイメタル式温度計

バイメタルとは二種類の熱膨張率の異った合金を接合し、板状に圧延したもので、温度変化をうければ一様な曲率で変位するものです。このバイメタルを渦巻き状にし、中心に針を取り付け、目盛板上に配置したものがバイメタル式温度計です。
温度の変化によって、渦が伸び縮し、中心の針が回ることで温度の変化を示してくれます。

その構造が簡単で保守が容易、ガラス温度計(水銀温度計やアルコール温度計)に比べて堅牢であり、指示を直読できるので、工業用途に適するものとして、ガラス温度計に変わってその使用範囲が広がっています。

電気式温度計

デジタル温度計

サーミスター温度計※とも呼ばれます。温度によって電気抵抗が変わることを利用したものです。センサー部分の金属に微量の電流を流して抵抗値をはかり、温度値に変換します。

※サーミスターとは・・・温度の小さな変化に比例して抵抗値が大きく変化する焼結半導体から作られている温度変換素子

熱電対温度計

2つの異なる種類の金属を接続したものをセンサーとする温度計です。この2つの接点に温度の差が生じることで発生する微電流を測定し、温度値に変換します。

デジタル温度計や熱電対温度計は感度に優れているので、秒単位の計測も可能です。

放射温度計

物体から放射される赤外線を計測するのが赤外放射温度計です。直接温度をはかりたいものに触れる必要がないので、高温設備の温度測定や食品などの温度測定に向いています。(ただし空気の温度は計測できません。)

測定スピードは速いものの、センサーの視野範囲に複数の物体があったり、測定物よりセンサーの視野範囲が大きかったりすると、どの温度を測っているのかわからなくなってしまい、正確な温度測定ができないことがあります。

昨今のコロナウィルス対策として行われている検温でよく使用されているので、目にすることが増えた温度計です。

最後に

いかがだったでしょうか。紹介させた頂いたように、温度計にはさまざまなバリエーションが存在しています。皆様が温度を計測する際に、目的にあった温度計を選ぶための参考になれば幸いです。