保冷箱とセットで運用されることの多い「保冷剤・蓄熱剤」。これらはどのようにして保冷箱の内部温度を一定に保つのか。その仕組みをご紹介します。

相変化

水は低温で氷(固体)、高温で水蒸気(気体)になります。このように物質の状態が変化することを相変化といいます。

物質は相変化する(例えば固体から液体になる融点)時に、分子間結合を緩めるために熱エネルギーを必要とします。そして、相変化している時は、その物質の温度は上昇しないという特徴があります。(熱エネルギーが、物質の温度上昇ではなく、相変化のみに消費されるため)

保冷剤・蓄熱剤は相変化という現象を利用している

この「相変化している時は、その物質の温度は上昇しない」という特徴を利用しているのが、保冷剤、蓄熱剤です。

例えば、融点0℃の保冷剤を凍結させて使用すれば、外部から流入してくる熱エネルギーを相変化しながら吸収してくれます。その時、保冷剤の温度は融点である0℃で一定になるので、保冷箱の内部温度は0℃付近に維持されます。蓄熱剤の場合は、保冷剤の逆の動きになります。

保冷剤・蓄熱剤の選び方

保冷箱の内部温度保冷剤・蓄熱剤の融点付近でキープされるので、目的(必要な温度)に合った融点の保冷剤・蓄熱剤を選択する必要があります。

-15℃以下(冷凍)で運びたい場合

-15℃以下の温度で運びたい場合は「ドライアイス」または「融点-25℃以下の保冷剤」を選んでください。

ドライアイスは、二酸化炭素を固体化させたもので、非常にパワフルな保冷剤です。ただし、航空貨物の場合、積載重量制限があったり、危険貨物扱いになるため、注意が必要です

一方で、-25℃以下の融点を持つ保冷剤は、ドライアイスよりも冷却能力(潜熱)が低くなります。しかし、ドライアイスのように昇華する訳ではないので、繰り返し使用に適しています。ただし、事前凍結させるためには、-40℃以下の冷凍庫が必要になります。

5℃(2~8℃)で運びたい場合

  • 外気温が常に5℃を上回る場合 ・・・ 0℃タイプの保冷剤
  • 外気温が5℃以下になったり、5℃以上になる場合・・・5℃タイプの蓄熱剤

℃タイプの保冷剤は、安価で使いやすい保冷剤です。しかし、ボックス内に投入する際の初期温度に注意する必要があります。
凍結庫から取出したままの零下状態から使用すると、ボックス内温度は2℃を下回るリスクがあります。また、外気温が5℃付近まで下がる場合にも、同様の低温逸脱リスクがあります。

5℃タイプの蓄熱剤は、その使用原料(パラフィン系)のため、高価な蓄熱剤になります。外気温が低くなる場合には、このタイプの蓄熱剤を使用せざるを得ませんが、なるべく使用量を減らすために、保冷箱の断熱性能を上げておくと良いです。

10℃以下(冷蔵)で運びたい場合

10℃以下(冷蔵)で運びたい場合は、外気温の影響を考え、0℃の融点を持つ保冷剤を使用することになります。0℃融点の保冷剤は、各種ある保冷剤や蓄熱剤の中でも安価で使いやすいので、保冷箱の断熱性能を低めに設計しても良いかもしれません。

20℃(15~25℃)で運びたい場合

20℃(15~25℃)で運びたい場合は、融点(凝固点)が20℃近辺にある蓄熱材を使用します。しかし、使用時の初期温度(固体から使うか、液体から使うか)に注意する必要があります。

  • 外気温が25℃を上回る場合 ・・・ 固体から使用
  • 外気温が15℃を下回る場合 ・・・ 液体から使用