今回は、保冷箱などに使用されている断熱材について、その構造や種類などを簡単に紹介します。

断熱材とは?

「断熱」とは、「ものから伝わる熱の量を抑える」ことをいい、断熱材とは、その性能を持った材料のことを指します。

主に建築材や保冷箱(クーラーボックスや発泡スチロールの箱など)の材料として使用されています。暑い夏や寒い冬でも、室内で快適に過ごすことができたり、要冷蔵・冷凍食品の品質を保ちながら輸送することができるなど、私たちの生活に大いに役立つ存在です。

 

断熱材の仕組み

なぜ、断熱材は物から伝わる熱の量を抑制することができるのでしょうか。それは断熱材が気体(空気)の持つ性質を活用した構造になっているからです。気体は液体や固体に比べて、熱を通しにくい性質を持っています。断熱材の内部には、空気が閉じ込められており、外から伝わってくる熱の通り道を減らす仕組みになっています。

断熱材の性能

断熱材の性能を測る基準は、「熱を通しにくいかどうか」です。もちろん、熱を通しにくいほど、その断熱材の性能は高いということになります。

断熱材の性能は、使われている原料や構造によって変化します。
そこで、それぞれの断熱材の性能を比べるために重要になってくるのが、熱の伝わりやすさを表す数値「熱伝導率(W/m・k)」です。

この数字が小さければ小さいほど、熱を伝えにくい=断熱性能が高いと判断することができます。

断熱材の種類

断熱材は、元となる素材によって、主に「繊維系」と「発泡系」の二つに分けられます。ここでは、代表的な断熱材の種類と特徴について紹介します。

【繊維系】

グラスウール(約0.038W/m・k)

ガラスを溶かして繊維状にし、接着剤を吹き付けて成形した断熱材です。真空断熱材の芯材として使用されることもあります。

ガラス製なので、経年劣化しにくい一方で、湿気によって断熱性能が落ちてしまうという特徴も持ち合わせています。

【発泡系】

ビーズ法ポリスチレンフォーム(約0.04W/m・k)

ポリスチレン樹脂に発泡剤・難燃剤を加えて、ビーズ状にしたものを発泡成形した断熱材です。一般的に「発泡スチロール」と呼ばれることが多く、日常の様々な場面でもよく目にします。

耐水性・耐久性に優れているのが特徴です。

押出法ポリスチレンフォーム(約0.028W/m・k)

ポリスチレン樹脂を加熱して溶かし、発泡剤と難燃剤を加えて、原板を押出成形した断熱材です。水や湿気に強く、軽いことが特徴です。

ウレタンフォーム(硬質の場合 約0.024W/m・k)

ポリウレタン樹脂に発泡剤を加えて、発泡させ、化学反応で硬化させた断熱材です。気泡の大きさによって、硬さ・用途が変わります。

【その他の断熱材】

真空断熱材(約0.002W/m・k)

断熱材を樹脂製のフィルムで包み、その内部を減圧することで真空状態にしたものです。気体による熱移動を防ぐことができるため、他の断熱材よりもはるかに高い断熱性能があります。