要冷蔵、冷凍品を海外に送る際、貨物の内容と梱包箱のバランスを整えることで航空運賃を下げることができます。その方法について解説します。
国際輸送用の冷蔵・冷凍用梱包箱とは
海上輸送では一般的なリーファーコンテナ(冷却装置付きコンテナ)も、航空輸送ではあまり普及していません。そのため、航空輸送用のリーファーコンテナは高額で、とても気軽に使えるものではありません。とはいえ、冷蔵・冷凍品を飛行機で送りたい時はあります。その際に使用するのが冷蔵・冷凍用の梱包箱です。
海外輸送は行ったきりになることが多く、あまり高額な梱包材料は使いたくありません。なので、一般的な国際輸送用の冷蔵・冷凍用梱包箱は、外は段ボール、中の断熱材は割安な発泡ポリスチレンを使うことが多いです。

梱包設計上の最大の注意点
航空輸送用の冷蔵・冷凍用梱包箱を設計する際に、最も注意しなければいけないのは、外気温の設定です。というのも、航空輸送においては、短時間に極端に温度変化が起きることも珍しくないからです。例えば、飛行機に乗る前のランプサイドは50℃を超えることもある一方で、数時間後のフライト中は貨物室温度が10-15℃まで降下します。また、そもそも出発地と到着地の気温が大きく異なる場合も多いです。
外気温と梱包物の温度差で梱包箱内外に移動する熱エネルギー量は変わりますので、輸送時間中の外気温がどのように推移するかを想定することが、梱包設計で極めて重要になります。

梱包設計で容積と重量は変わる
一般的に、断熱性能の良い梱包箱は、断熱材の厚い箱になります。つまり、その分だけ容積は大きくなります。一方で、断熱性能が良くなれば、使用すべき保冷材量は少なくなるので、軽い梱包箱になります。反対に、断熱性能の悪い梱包箱は、断熱材が薄く、容積も小さくなりますが、必要な保冷剤量は増えて、重たくなります。
- 断熱性能が良い→必要な保冷材は少なく、軽くなる⇒「容積が大きいが、軽い」
- 断熱性能が悪い→必要な保冷材は多く、重たくなる⇒「容積が小さいが、重い」
つまり、冷蔵、冷凍用梱包においては、容積と重量はトレードオフの関係にあります。
梱包設計で航空運賃が下がる
前回に説明しました通り、航空運賃は、容積重量と実重量の大きい方が適用されます。例えば、送りたい冷蔵、冷凍品が軽くかさばる貨物の場合、断熱性能の良い箱を選ぶべきでしょうか?あえて悪い箱を選ぶべきでしょうか?
貨物重量(内容物)が軽く、かさばっている
- それ以上に容積を大きくすると航空運賃が高くなる。
- だから、保冷材が重たくなっても、容積の小さい箱を選ぶべき。
- あえて、断熱性能が悪い箱を選ぶ方が、航空運賃は安くなる。
そうです。重たくなっても、容積を押さえた方が、航空運賃は安くなるのです。このように、一概に断熱性能の良い箱を選はずに貨物の内容と梱包箱のバランスを整えることで、航空運賃を下げることができるのです。