弊社の取り組み
弊社は、これまで「日本の物流に新しい風を」をスローガンにお客様の物流をより良いものにして頂くためのボックスやパレットといった物流機器を開発し、提案してまいりました。昨今は、食品や医薬品といった温度管理が必要な貨物をより安心して輸送したいというニーズを頂き、様々な定温輸送ツールの開発に注力してきました。
定温輸送ツールにとって重要なことは、「いかに熱を遮り、内外温度差を長時間維持するか」であり、その鍵になるのは断熱材です。
2021年までは、定温輸送ツールを製造する際には、社外から断熱材を購入して組み込んでいましたが、その鍵となる断熱材を自社で製造する方針に切り替え、中でも抜群の性能を保持する真空断熱パネルを製造することにしました。
真空断熱パネルへの想い
2022年3月から、真空断熱パネルの製造を始めました。
それまでは、高性能な定温輸送ボックスを製造する際には、真空断熱パネルを社外から購入していましたが、その寸法公差は小さくなく、結果的にボックスの気密性を損ね、性能低下の原因になっていました。特に小型の定温輸送ボックスにおいては、致命的で、折角、真空断熱パネルを使用しているのに、期待通りの性能が出ませんでした。
「納得のできる定温輸送ボックスを作りたい」、その思いで、真空断熱パネルの内製化を始めたのです。
とはいえ、当時の弊社の技術で製造できるものは、比較的容易に製造のできるグラスウール芯材の真空断熱パネルのみでした。(当時の日本ではヒュームドシリカ芯材の真空断熱パネルを製造できる会社は1社もありませんでした)
しかし、グラスウール芯材の真空断熱パネルは短期的な性能に優れているものの、長期的には性能が低下してしまう性質を持っています。
とはいえ、定温輸送ボックスのような物流用途であれば、一般的に5年を超えて使用されることは少ないため、グラスウール芯材の真空断熱パネルでも何とか使えないことはないだろうと判断した上での割り切りでした。
そういった事情もあり、自社で製造するグラスウール芯材の真空断熱パネルを組み込んだ定温輸送ボックスは、その長期的な性能劣化についてお客様にご説明し、ご納得頂いた上で、使って頂いていましたが、長期的なご使用が想定される物流用途以外のお客様にご案内することは控えていました。
AGC株式会社様が日本で初めてヒュームドシリカ芯材の真空断熱パネルの開発、製造に成功しました。
さらにその後、AGC様が、その真空断熱パネル事業を譲渡することになり、2024年4月に弊社が譲り受けることになりました。和歌山市に新工場を開所し、AGC様から製造ラインの移設、技術指導、ご支援を頂き、2024年10月からヒュームドシリカ芯材の真空断熱パネルの量産を開始しています。日本で唯一のヒュームドシリカ芯材の真空断熱パネル製造ラインになります。
ヒュームドシリカ芯材の真空断熱パネルは、グラスウール芯材とは違い、長期的な性能劣化はほぼありません。しかも、グラスウール芯材と比べて、軽量であり、サイズも厚みも柔軟に対応できます。この真空断熱パネルであれば、物流用途以外のお客様にも自信をもってお奨めできます。
是非、ヒュームドシリカ芯材の真空断熱パネルのご採用をご検討ください。
真空断熱パネルとは何か・・・
真空断熱パネルは数ある断熱材の中でも抜きんでた断熱性能を持っています。


真空断熱パネルは下図のような構造を持っています。

DATA SHEET
項目 | スペック |
芯材主成分 | シリカ |
外観 | 銀色 |
熱伝導率 | ≦0.004W/mK |
密度 | ≒0.17g/cm3 |
耐熱温度 | 90℃(耐熱フィルムの場合100℃) |
湿度耐性 | 0%~70% |
初期内圧 | ≦200Pa |
圧縮強度 | ≧140kPa(10%変移時において) |
厚み | 3~30㎜ |
最大寸法 | 1750×970㎜ |
最小寸法 | 250×200㎜ |
- 単一R曲げ加工は可能
- 穴あけ、異形は原則不可