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” セグメンテーション ” がパッケージを変えた
みなさんは、どんな ” 歯磨き粉 ” を使用されていますか??
歯ぐきから血が出やすい人、歯周病が気になる人、ホワイトニングしたい人、口臭を予防したい人、同じ歯磨き粉でも消費者のニーズは違ってきます。このように、消費者の求めるニーズに応じて商品に特色をつくり、商品を分けることをセグメンテーション(※1)と呼ばれています。
※1 セグメンテーションとは・・・マーケティング戦略を考える上で、自社がどこの市場を狙っていくのかを検討するために「市場を細分化し、顧客を分類すること」を指します。
セグメンテーションに関しては、また改めて詳しくご紹介するとして・・・、現在は、セグメンテーションの時代だと言われています。ビジネス(営業)においても、商品開発にしても、このパッケージにおいても、少しでもニーズが見つかれば、すぐにセグメンテーションされています。十人十色と言われように、人の好みは様々なので、商品に特徴や特色を持たせると売れると言われています。
商品やパッケージのセグメンテーションをするにあたり、次のようなパターンがあります。
① 年齢によるセグメンテーション・・・大人用、子供用、老人用、ハイティーン用など
② 男女によるセグメンテーション・・・男性用、女性用など
③ 価格によるセグメンテーション・・・低価格用(お徳用)、中価格用、高価格用、超高価格用など
④ 味覚によりセグメンテーション・・・甘口、辛口、うす口、塩味、みそ味、固いもの、やわらかいものなど
⑤ 色によるセグメンテーション・・・ガムやジュースのように色によって商品を変える
⑥ デザインによるセグメンテーション・・・クラシック調、モダン調、ヨーロッパ調、インテリ調、野生調など
⑦ 商品機能のセグメンテーション・・・歯磨き粉のように、商品機能の1つだけを独立させる(例)風邪薬のセグメンテーション:喉から用、鼻から用、熱から用、頭痛から用
⑧ パッケージ素材によるセグメンテーション:缶、袋、箱(同じ商品でも、パッケージ素材によって別の新製品となる)
このように、セグメンテーションは多くの要因によって実行され、これら8項目を組み合されることも多いです。
” 売る狙い ” をつくり出す
セグメンテーションによって商品をつくることは、” 売る狙い ” をセグメンテーションによってつくり出すということです。そこで重要となるのが、コンセプトがきわめて明確かどうかです。
セグメンテーションによって商品に特色が生み出されますが、パッケージはその特色を強く表現しなければいけません。そうしないと、消費者には違いが見えないからです。「品質の違う別の商品がある」と感実ほどのパッケージにしておかないと売れない、セグメンテーションによってパッケージが変わったという理由はここにあります。
セグメンテーションによるパッケージ戦略で注意すべきこと
セグメンテーションによるパッケージ戦略を進める上で注意するべきポイントがあります。それは、セグメンテーションでつくられた製品は、自社の別商品とも競合するということです。より多くの他社製品に食い込むようにつくられたが、計算が狂うとこのような失敗に繋がります。つまり、他社製品に食い込まず、自社商品に食い込み、従来の自社商品の販売が落ち込んでしまう状態に陥ることです。セグメンテーションによるパッケージ戦略の難しさがここにあります。
セグメンテーションによるパッケージ戦略の成功ポイント
成功させるポイントは、パッケージ以前の商品企画で決まります。セグメンテーション戦略にたけている大手メーカーは、この商品企画力が優れていると言われています。
成功のポイントは次の内容を明確にすることです。
・ どういう消費者を狙うか(ペルソナ)
・ どういう特徴が商品にあるのか、持たせるのか
・ どういうイメージを狙うか
・ 狙ったイメージを持たせるために、どのような名前をつけるか
・ 従来の自社商品と、どのように差別化するか
・ 他社製品のどのような分野(商品)に食い込むか
これらのポイントを抑えながら、まずは商品企画を進めることが、現代のパッケージ戦略による成功に秘訣だと言えます。
執筆者:パッケージアドバイザー 安宅